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幸せの、ありか。

 

11月に差し掛かり夜は北風が吹きはじめ寒くなりました。

皆さんいかがお過ごしですか?

今年は本当にあっという間に一年が終わろうとしている。自分は今42歳。生まれてから沢山の時間が流れましたがその分親も歳をとりました。

うちの母親も70歳を超えました。外見は小柄ながらとにかく元気で常に笑顔。そしてシワがあまりなく髪も艶があり若く見られます。60歳を超えてもナンパされた話を聞かされたこともありました。笑

そんな母親の身体に一年半程前病気が見つかりそこから実家へ帰ったり病院へ行ったりする日々が始まりました。病名は癌です。かなり深刻な状況だったのですが癌は誰でもなりうる病気で多少の驚きはあったものの、それは仕方のないもの…と捉える気持ちもありました。

抗がん剤治療の日々が始まり自慢の髪が抜け体力を消耗し10時間以上に及ぶ大手術。病院のベンチで待ち続ける自分でさえきつかった。

手術後タンカーのようなもので運ばれてきた母親の姿は初めてみるもので自分の心にメスをいれたれたようでした。

 

そんな長く険しい日々を超えて先日、最後の抗がん剤治療の入院を終え、妹家族と兄で祝ってきました。

美味しい食事を囲みながら兄弟でお金を出し合いマフラーをプレゼント。母親は嬉し泣きし、妹も釣られて泣いていました。

 

そんな母親が常々口にしていたのは

生きてるというだけで幸せ

という言葉。でした。

 

人生は誰しも紆余曲折があり嬉しいこと悲しいこと苦しいこと苛立つこと…さまざまなことがありますが今が一番幸せと言っていた。

皮肉にも生きることが当たり前と思う心にはその感情はわからない。わかっていると自分で思い込んでも薄い。しかし生と死の狭間を経験すると心は感じるのでしょう。

その生きれることの特別な幸せを心から感じれたことだけでも母親は幸せなんだなって思いました。

そして一昨日あたり、最後のレントゲンを撮りに病院へ。それで腫瘍がなくなっていれば抗がん剤治療から解放されます。あとは楽しい人生を送ってほしいと願うばかりです。

 

今、母親の目に映る空の色や木漏れ日、夕焼け、星の輝きや季節の花の香り、土の匂い…全てを愛しく身体で感じていると思います。

僕も負けじと11月の風を鼻を膨らませ感じていますが。

 

有限の時間の中で自分はどうありたいのか、何が自分にとって本当に幸せなことなのかを考えさせられた日々でした。

 

あらゆる困難は越えるためにそこにある。そしてそこに意味が生まれる。でも不幸中の幸い、その意味は自分で決めて良いようです。

今、苦しい状況にある人でも必ず金色の風走る草原が広がる場所へ辿り着くと…

 

信じる気持ちを絶やさずに。